第四紀研究
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縄文時代の高精度編年
三内丸山遺跡の年代測定
辻 誠一郎中村 俊夫
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2001 年 40 巻 6 号 p. 471-484

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抄録

先史時代の一つの集落の構造とその移り変わりを明らかにするために,青森市の三内丸山遺跡において詳細な放射性炭素年代の測定および暦年較正を行った.その結果,三内丸山の集落は放射性炭素年代では約5,100~3,900yrs BPの期間存続したことが明らかになった.また,暦年では約5,900~4,300cal BPの約1,600年間存続したことがわかった.縄文時代前期から中期への移行は,約5,400cal BPであった.円筒土器文化の時期に続く榎林式・最花式・大木10式土器をもつ文化の時期も,大型掘立柱建物や環状配石墓といった施設をもち,三内丸山の集落を支えた重要な文化であったことがわかった.さらに居住開始年代は,クリ林の急増など生態系の急変と一致し,居住と生態系変化が密接な関係にあることが示された.

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