第四紀研究
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3.9Maから1.0Maの日本海の南方海峡の変遷史
北村 晃寿木元 克典
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2004 年 43 巻 6 号 p. 417-434

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抄録

本州の日本海沿いに分布する上部鮮新統-下部更新統の暖流系貝類化石および浮遊性有孔虫化石(対馬海流の指標)の層位分布から,日本海の南方海峡の変遷を検討した.既存の化石記録からは,3.9Maから3.1~3.0Maの期間において南方海峡の存在を示唆する確実な証拠は見出せなかった.3.1~3.0Maから酸素同位体ステージ60(1.72Ma)までの期間は,海水準高位期に南方海峡は一時的に出現したが,それ以外の期間は離水していたと考えられる.その後,同位体ステージ26(0.98Ma)までの期間の全間氷期に南方海峡が存在したことは確実であり,また同位体ステージ47(1.45Ma)から41(1.32Ma)の期間には氷期にも南方海峡が存在した可能性が高い.なお,同位体ステージ57(1.66Ma)における南方海峡の急速な形成は,2Ma頃に始まったフィリピン海プレートの沈み込み方向の変化に伴う沖縄トラフ北縁部のリフティングに関連したものと推定される.

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