第四紀研究
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フィリピン諸島ボホール島南西地域に分布するサンゴ礁段丘からみた最終間氷期における海面変動
Cherry L. Ringor大村 明雄前田 保夫
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2004 年 43 巻 6 号 p. 401-416

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抄録

ボホール(Bohol)島の南約19kmに位置するパミラカン(Pamilacan)島には,上位から最高地点高度が27mと,内縁高度がそれぞれ13mと6mの平坦面を有する3段のサンゴ礁段丘が発達する.これらの段丘面上から採集した造礁サンゴ化石にαスペクトル230Th/234U法を適用した.その結果,各段丘から,122~131ky(MIS5e),101~108ky(MIS5c)および79~83ky(MIS5a)の年代値を得た.以上の結果と,MIS5eにおける海面高度を現在より3~6m高く,その後の垂直変動が過去125ky間,等速(0.18~0.21m/ky)で推移したと仮定すれば,MIS5c(105ky)および5a(82ky)のパミラカン島における海面高度は,現在よりそれぞれ9~11mと6~9m低かったことになる.一方,パングラオ島南東部(San Isidro)とボホール島南西部(Punta Cruz)に形成されたMIS5eおよび5c相当の段丘分布高度は,それぞれ13~14mと5~6mで,パミラカン島より低い.このことは,両地点におけるMIS5e以降の隆起率が0.06~0.09m/ky,MIS5cにおける海面高度が現在より3m低かったことを示唆する.

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