第四紀研究
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43 巻 , 6 号
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  • 佐瀬 隆, 山縣 耕太郎, 細野 衛, 木村 準
    2004 年 43 巻 6 号 p. 389-400
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    北海道,石狩低地帯南部の最終間氷期以降のテフラ-土壌累積層について,特にササ類の地史的動態に注目して,植物珪酸体分析を実施した.現植物相で優勢な植物群であるササ類は,海洋酸素同位体ステージ(MIS)5eから5b前半まで,植生の主要な構成要素であった.しかし,ササ類は,MIS5b後半に帰属する阿蘇4テフラ(Aso-4)期からMIS5b/5a境界に帰属するクッタラ6テフラ(Kt-6)期にかけて衰退し,その後,最終氷期を通じてほとんど消滅した.その間,少なくともMIS5bとMIS3に亜寒帯針葉樹林の成立が見られた.MIS5bに成立した亜寒帯針葉樹林は,現在の北海道に見られる亜寒帯針葉樹林と同様にササ類を伴ったが,MIS3に成立した亜寒帯針葉樹林はササ類を伴うことはなかった.ササ類が再び主要な構成要素となる時期は完新世の開始以降である.
  • Cherry L. Ringor, 大村 明雄, 前田 保夫
    2004 年 43 巻 6 号 p. 401-416
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    ボホール(Bohol)島の南約19kmに位置するパミラカン(Pamilacan)島には,上位から最高地点高度が27mと,内縁高度がそれぞれ13mと6mの平坦面を有する3段のサンゴ礁段丘が発達する.これらの段丘面上から採集した造礁サンゴ化石にαスペクトル230Th/234U法を適用した.その結果,各段丘から,122~131ky(MIS5e),101~108ky(MIS5c)および79~83ky(MIS5a)の年代値を得た.以上の結果と,MIS5eにおける海面高度を現在より3~6m高く,その後の垂直変動が過去125ky間,等速(0.18~0.21m/ky)で推移したと仮定すれば,MIS5c(105ky)および5a(82ky)のパミラカン島における海面高度は,現在よりそれぞれ9~11mと6~9m低かったことになる.一方,パングラオ島南東部(San Isidro)とボホール島南西部(Punta Cruz)に形成されたMIS5eおよび5c相当の段丘分布高度は,それぞれ13~14mと5~6mで,パミラカン島より低い.このことは,両地点におけるMIS5e以降の隆起率が0.06~0.09m/ky,MIS5cにおける海面高度が現在より3m低かったことを示唆する.
  • 北村 晃寿, 木元 克典
    2004 年 43 巻 6 号 p. 417-434
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    本州の日本海沿いに分布する上部鮮新統-下部更新統の暖流系貝類化石および浮遊性有孔虫化石(対馬海流の指標)の層位分布から,日本海の南方海峡の変遷を検討した.既存の化石記録からは,3.9Maから3.1~3.0Maの期間において南方海峡の存在を示唆する確実な証拠は見出せなかった.3.1~3.0Maから酸素同位体ステージ60(1.72Ma)までの期間は,海水準高位期に南方海峡は一時的に出現したが,それ以外の期間は離水していたと考えられる.その後,同位体ステージ26(0.98Ma)までの期間の全間氷期に南方海峡が存在したことは確実であり,また同位体ステージ47(1.45Ma)から41(1.32Ma)の期間には氷期にも南方海峡が存在した可能性が高い.なお,同位体ステージ57(1.66Ma)における南方海峡の急速な形成は,2Ma頃に始まったフィリピン海プレートの沈み込み方向の変化に伴う沖縄トラフ北縁部のリフティングに関連したものと推定される.
  • 加藤 茂弘, 山下 透, 檀原 徹
    2004 年 43 巻 6 号 p. 435-445
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    大山テフラ層中の大山奥津軽石(DOP),hpm1軽石,hpm2軽石,大山別所軽石(DBP),大山蒜山原軽石,下のホーキ,オドリ火山砂,上のホーキ,弥山軽石の9層のテフラについて,火山ガラスや重鉱物の屈折率など詳細な岩石記載的特徴を明らかにした.これらのテフラはすべて類似した特徴を有するが,カミングトン閃石や褐色普通角閃石の含有量,火山ガラス・普通角閃石・カミングトン閃石の屈折率に違いがあり,これらを指標に同定・対比できる.これらのテフラの中で,DOPとhpm1軽石は一致した岩石記載的特徴を持つことから,相互に対比が可能であり,さらにDBPは少なくとも近畿地方北部にまで分布する可能性がある.
  • 佐藤 裕司, 松田 功, 加藤 茂弘, 松原 尚志
    2004 年 43 巻 6 号 p. 447-455
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    北海道東部,涛沸湖沿岸において,貝類遺骸を多数含有する完新統の堆積物コアを採取した.貝類遺骸群集中には,現在本州以南に分布するウネナシトマヤガイ(Tropegium(Neotrapezium)liratum)が含まれ,その14C年代測定の結果から約3,300yrs BPの生息記録が得られた.堆積物中のイオウ含有量,珪藻遺骸群集,そして貝類遺骸群集にもとづき堆積環境を推定した.堆積物中のイオウ含有量と珪藻遺骸群集を指標に,認定された海成層の上限(マリンリミット)は,標高+0.30mであり,貝類遺骸群集が示す上限(標高-0.23m)に比べて高く,その間には0.53mの差異が認められた.干潟に特徴的な珪藻の環境指標種と貝類遺骸の出現から,相対的海水準高度として標高-1.40m(3,320±60yrs BP)と-0.23m(1,290±60yrs BP)が推定された.この旧海水準記録は,これまでオホーツク海沿岸の低地から報告された完新世後期の海水準に比べて低く,このことは当該調査地点の相対的な沈降を示すと考えられる.
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