本稿では、大学生を対象としたアンケート調査によるデータと大学から提供を受けた学生の学業データを紐づけることによってパネルデータを構築し、大学生の学業成績の規定因について分析した。固定効果モデルによる分析結果では、取得単位数は交友関係に正の影響を受けるが、学習姿勢から受ける影響は限定的であることが確認された。一方、履修科目の平均点は交友関係には負の影響を受けるが、意欲的な学習姿勢には正の影響を受けることが確認された。こうした結果は、履修科目の平均点は意欲的な学習姿勢に裏付けられているものの、取得単位数は必ずしもそうではないことを示唆しており、大学生の知識・技能の総量を正確に評価する場合には、取得単位数よりも平均点を使用する方がより適切であると考えられる。