近年増加しているインターネット上での購買行動など,事前に商品の全容を確認できない選択状況では,選択肢のイメージを正確に把握する能力が良い選択につながると予測される.本研究では,視覚的イメージ能力を客観的に測定するテストを開発し,信頼性と,実際の選択場面での妥当性を検討した.研究1では,様々な立体図形や平面図形から成る視覚的イメージ能力テスト(VIT)を同一被験者に2回実施し,信頼性と因子構造の安定性を検討した上で,標準化を行った.研究2では,別の被験者群のデータを研究1の標準化得点で換算し,信頼性と3因子構造を検討した.研究3では,視覚的イメージ能力を要する一現実例として,仮想空間上の部屋立体図を想像しながら間取図を選択する課題を行い,3次元組合せ因子との高い相関を得て,構成概念妥当性の一証拠を得た.今後は,他因子の妥当性の検証や,現実課題と能力因子との詳細な関連を検討する必要がある.