2024 年 20 巻 1 号 p. 135-167
因子分析や項目反応理論などの測定モデルを使う際は,次元数を事前に指定しなければならないが,次元数を誤指定,特に過小指定するとパラメタの推定値にバイアスが生じるため,次元数を正しく指定することが求められる.これまでに様々な次元性評価法が提案されてきたが,決定的な手法は未だ確立されていない.また,心理・教育測定以外の分野の技術を用いた新しい手法が近年提案されており,測定モデルのユーザーが次元性評価法の知識を更新することが難しくなりつつある.そこで本研究は,次元性評価法の中でも比較的近年提案されたネットワークモデルや機械学習にもとづく手法を中心に解説するとともに,最も有力な手法の一つである平行分析と関連手法の詳細を整理することで,測定モデルユーザーの知識の更新に資することを目指す.また,既存研究の整理を通して見えてくる次元性評価法研究の展望を述べる.