シミュレーション&ゲーミング
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ゲーミング教材における規範:目標か設計原理か
玉田 和恵 松田 稔樹
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2022 年 31 巻 2 号 p. 119-129

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抄録

本稿では,筆者らが情報モラル教育のために開発してきたゲーミング教材の変遷をふり返りながら,規範を育てるゲーミングの視点と,ゲーミングの規範としての設計原理に関する研究の視点から考察した.前者については,「3種の知識」,「情報的な見方・考え方」,「問題解決の縦糸・横糸モデル」という形で,修得すべき規範を統合・拡張してきた.これにより,情報モラルから,市民として社会情報システムを評価する能力の指導法に発展させた.後者については,類推,レディネス,汎用的方略,転移,メタ認知などをキーワードとして,ゲーミング教材の優位性に着目し,知識獲得モードと演習モード,ログの活用,知識の5W1Hフレームなどの設計原理を開発してきた.両者は,規範モデルをメタ認知知識として明示的に指導するという形で一度は一体化されたが,今後は規範モデルを複数のゲーミング教材で系統的に指導する新・逆向き設計のようなカリキュラム設計原理が重要になるだろう.

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© 2021 特定非営利活動法人日本シミュレーション&ゲーミング学会
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