ケア概念の可能性―社会的なものの民族誌のために

抄録

本発表では、現代の人類学研究においてケアに注目することにどのような意味があるのか、民族誌研究におけるその可能性について考察する。ケアへの関心を人類学研究として配置するために、第一に、世帯間のサービス交換関係に焦点をあてる。第二に、人類学研究のなかに潜在する社会保障への観点を喚起する必要を述べる。これによって、ケアを民族誌研究のキー概念とし、ケアを介して社会的なるものの編成を探る方途を示す。