2020 年 76 巻 3 号 p. 467-480
飛来海塩などの腐食性の高い環境に曝される鋼構造物において,塗膜傷を起点とする局部腐食が多数報告されている.この塗膜傷部の腐食は,雨水や結露などの水膜形成により電気的に短絡することで,相互干渉しながら進行する.本研究では鋼構造物の雨水が滞水する部位と結露により乾湿が繰り返される部位に着目して,近接する複数の塗膜傷間における鋼材の初期腐食の電気化学特性を解明することを目的とした.そのために,塗膜傷を模した複数の電極を有するモデル試験体を製作し,そのマクロセル腐食電流を経時的にモニタリング測定した.その結果から,滞水部位における3つの塗膜傷の電気化学特性を解明した上で腐食電流密度の推定手法を提案した.また,乾湿が繰り返される部位では,大きい傷に比して小さい傷の腐食が進行しやすいことを明らかにした.