抄録
本研究は、消滅危惧集落に暮らす一人暮らし男性高齢者の心理的葛藤と生活適応の実態を質的に明らかにし、プライドを尊重した居住継続支援のあり方を検討した。
対象者は世帯主としての自負や家・地域への責任感から強い居住継続意思を持つ一方、移動手段の喪失や身体機能の低下に伴い、自立と依存の間で激しい「こころの揺らぎ」を抱えていた。一方、社会的役割や趣味、遠隔地家族との交流は孤立を防ぐ保護要因となっていた。彼らの生活継続には、一律に被支援者扱いせずプライドを保てる「お互いさまの関係」の構築や役割提供といった心理的支援と、免許返納後も移動・購買を支える地域インフラ等の環境的支援を統合した、包括的な地域支援ネットワークの再構築が不可欠である。