抄録
本研究では自閉スペクトラム症児の対人行動を促進するためにミラーリング手続きを用いた.幼稚園の自然な対人相互作用場面を記録し,参加者の対人注目,動作模倣,快の表情,要求言語および報告言語の生起頻度を算出した.単一事例デザインにより分析した結果,5つの標的行動のうち4つで生起頻度が変化した.介入により高い効果を示した対人行動は報告言語であった.報告言語は他者の応答や同意により強化される行動である.また対人注目と快の表情は,ミラーリングを行う条件で一貫して増加していた.さらに社会的妥当性に関する主担当者の評価は,対象児と研究実施者のラポール形成を指摘していた.これは,ミラーリングが共感を高めることを示唆する先行研究の知見に一致する.今後,ミラーリング手続きの応用可能性を検証する必要がある.