抄録
発達障害者が就職し働き続けるには,入職・職場定着支援が効果的に行われる必要がある. 本稿では,そのような発達障害者の入職・職場定着支援について,定着や離職の実態,支援の制度・サービス,方法,実践を概説した.特に,障害者と企業への職場適応支援を行うジョブコーチの方法を中心に紹介した.さらに,わが国の参考とするため,米国のカスタマイズ就業と,援助付き雇用の支援者の資格である認定就業支援専門職(CESP)についても紹介した.以上から,現状では,発達障害者の職場定着率は低いなどの課題があるものの,発達障害者向けの入職・職場定着支援が整備されてきており,さらに方法についてもジョブコーチ支援を中心に蓄積されてきており,多様な機関が支援を行っていることが明らかとなった.今後は,1発達障害者の公的統計の拡充,2支援の実証研究の蓄積,3就労支援の人材育成の拡充,体系化が期待される.