発達障害研究
Online ISSN : 2758-9048
Print ISSN : 0387-9682
学校医の現状とこれから
杉村 共英
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2020 年 42 巻 2 号 p. 113-119

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抄録
わが国の学校医制度は明治31年に始まり,社会情勢や学校環境の変化に応じて運用されてきた.平成19年に特別支援教育が学校教育法に位置づけられると,学校においても神経発達障害への支援が求められるようになった.しかし神経発達障害をもつ児童・生徒を正確に見立てて支援するためには専門的な知識が不可欠なため,学校現場の負担は大きく困惑や混乱も見られる.神経発達障害は,スペクトラム概念が採用されていることからも明らかなように個性の一部としての側面があり,また環境の影響も強く受ける.保護的かつ教育的(成長促進的)にかかわることが必要であるため,従来の学校健診や学校医のシステムでは十分な支援が行えないのである.本稿では,公立中学校,特別支援学校,私立大学で精神科校医を務める筆者が,自身の経験をもとに学校精神保健の現状と課題を考察する.
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© 2020 日本発達障害学会
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