抄録
本研究では,韓国の国公立保育園と家庭保育園で統合保育の経験を有している保育士および園長計14名への半構造化面接を行い,統合保育が障害児・健常児・保護者に及ぼす影響や保育士の工夫,今後の課題について,M-GTAによる質的分析を通して検討した.その結果,統合保育を通した障害児の発達や障害児と健常児とのかかわりが,障害児の保護者の統合保育への信頼と健常児の保護者の統合保育の受容に肯定的な影響を与えることが示された.また,保育士は充実した統合保育に向けて,指導計画をふまえて,障害児,健常児,保護者にさまざまな工夫をしていることが明らかになった.その一方で,障害児の類型や程度と健常児の発達年齢によっては,お互いのかかわりに制限があり,障害児の保護者と健常児の保護者には共通の関心事が少なく,保護者間の分離が起こり得ることも示唆された.