抄録
本研究では認知処理過程として,注意,同時処理,継次処理,プランニングを取り上げ, 知的障害者の就労における自己調整方略との関連を検討した.対象者は,精神年齢8歳未満の知的障害者(CA:27.96±7.48;MA(月齢):80.35±10.25)が46名で,精神年齢8歳以上の知的障害者(CA:27.17±7.95;MA(月齢):112.46±11.98)が 35名であった.認知処理過程の測定にはDN-CAS認知評価システムを用いた.その結果,精神年齢8歳以上群では,プランニングが就労における自己調整方略を有意に予測しており,説明率は16%であった.一方,精神年齢 8歳未満群では同時処理が就労における自己調整方略を有意に予測しており,説明率は31%であった.したがって,就労における自己調整方略の支援のあり方を考える際に,知的障害者の個々の認知処理過程の特性をふまえる必要性が示唆された.