抄録
本稿では,北海道の知的障害特別支援学校在籍の児童生徒とその家族の生活実態について調査を行い,知的障害児の「育ちと発達の貧困」の内容とそれらが知的障害児の学習・発達面にどのような影響を与えているのかを検討し,生活上の困難・支援ニーズに対して,どのような支援が 求められるのかについて考察した.
多くの知的障害児は限られた人間関係と単調な生活を余儀なくされ,しかも年齢が高くなればなるほど固定化する傾向にあることが明らかとなった.また,保護者の就労や健康問題も大きく,とりわけ障害が重い,あるいは,年齢が低いほど困難であることが示された.
近年,知的障害児やその家族に対する支援も徐々に拡充してきているが,さらに保護者の就労や健康問題も含め,知的障害児の「自立(経済的自立・社会的自立)」に向けた支援,発達的視点を ふまえた生活支援等の知的障害児の家庭を総合的に支える権利保障システムが不可欠である.
さて本調査は,北海道の知的障害特別支援学校在籍の児童生徒とその家族の生活実態という限定された調査であるために,今後は全国規模の調査を行い,知的障害児とその家族の生活実態と求められる支援について総合的に検討する必要がある.