発達障害研究
Online ISSN : 2758-9048
Print ISSN : 0387-9682
コロナ禍におけるオンラインによる交流および共同学習の実践
知的障害特別支援学校と高等学校の生徒自身の評価からの検討
小島 道生岩切 祐司小笠原 志乃片山 忠成菅野 佳江菊池 恵美島 尚平杉田 葉子高木 哲也松本 英樹
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 43 巻 3 号 p. 268-277

詳細
抄録

本研究では,コロナ禍において対面での実施が困難となったため,オンラインでの交流お よび共同学習を実施し,その効果と限界について,生徒を対象としたアンケート調査から検討する ことにした.対象となったのは,特別支援学校に所属している知的障害のある中学生18名と高等 学校の生徒14名である.1 年間に4回実施したオンラインの交流および共同学習のうち,2 回目のオンラインの交流および共同学習のアンケート調査を分析し,効果的な支援のあり方について検討 した.その結果,知的障害のある生徒は,オンラインの交流に対して,困難さを感じる生徒と感じ ない生徒に分かれていたが,高校生は程度の差はあるもののオンライン交流に対する困難さを感じ ている生徒が多かった.そして,困難さに関する回答理由の分析から,知的障害のある生徒には活 動そのものの難易度が影響している一方で,障害のない生徒に対してはオンラインの通信にかかわる制限への対応が求められていることも示された.また,知的障害のある生徒と高校生に共通し て,オンライン交流で,相手校の生徒のことがよくわかったかどうかは,意見が分かれていたが, 過去の対面での交流および共同学習の経験の有無が影響している可能性も示唆された.

著者関連情報
© 2021 日本発達障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top