発達障害研究
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デンマークの後期中等教育機関におけるインクルーシブ教育制度
是永 かな子石田 祥代松田 弥花眞城 知己
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2022 年 43 巻 4 号 p. 415-426

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抄録

本研究では,関連資料分析と聞き取り調査によって,デンマークにおける後期中等教育段 階のインクルーシブ教育制度について明らかにした.主たる結果を以下に示す.第一に後期中等教育段階では大きく 2 つの進路に分岐していた.加えて,移行のための予備基礎教育機関が設置され ていた.そして義務教育終了後の進路は,重点化する教育内容に従ってコース分けされていた.第 二に,特別な支援を要求する場合には,国が管轄する後期中等教育機関とは別に,コムーネが管轄 する STU と SPS があった.STU は STU 法に規定されており,比較的重度障害のある子どもを対象として 25 歳までの 3 年間後期中等教育が保障され,個別の計画が作成されるものであった. SPS は比較的軽度障害のある子どもを対象として,定式化された支援制度であった.第三に,SPS の教育は教育的インクルージョンを,STU の教育は社会的インクルージョンを目指していた.

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© 2022 日本発達障害学会
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