発達障害研究
Online ISSN : 2758-9048
Print ISSN : 0387-9682
地域の相談機関におけるペアレントトレーニング
─短縮版ペアレントトレーニング・プログラムの効果と保護者の出席率が効果に及ぼす影響についての予備的検討─
荻野 昌秀
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2022 年 44 巻 1 号 p. 86-99

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抄録

近年,発達相談センターや保健センター等の地域機関での発達障害児の保護者に対するペアレントトレーニングの実践が進んでいるが,普及のために短縮版の実施,出席率や中断の分析が必要である.本研究では全7回の短縮版ペアレントトレーニング・プログラムを開発,実施した. 対象は小学生の母親30名であった.出席率70%以上の保護者20名は対応知識,抑うつ,養育ストレスが改善し,子どもは多動・衝動性や家族にかかわるQOLの改善が見られ,標準版と同様の効果が確認された.また将来の仕事等の情報が保護者の悲観の低下につながった可能性が考えられた.さらに感想の分析から,出席率と保護者の考え方が関連しており,出席率の低い保護者は個別相談が適している可能性があることが示唆された.今後は出席率が低い保護者の個別相談の経過を確認することや,フォローアップを行ってプログラムを実施する前後との比較を行うこと等が必要である.

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© 2022 日本発達障害学会
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