災害情報
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特集 2016年熊本地震と災害情報
熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策の在り方について
森本 輝
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2017 年 15 巻 2 号 p. 131-136

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抄録

平成28年4月に発生した熊本地震では、東日本大震災を踏まえて改正された災害対策基本法に基づき初めて実施したプッシュ型物資支援や、避難所運営等における専門的な知識を有するNPO等との連携など、これまでの災害を教訓にした取組が一定の成果を上げた一方、今回の対応で課題として指摘されたものもある。

今後の災害に備え、熊本地震への対応から教訓を得るため、被災自治体や有識者が参加する「熊本地震を踏まえた応急対策・支援策検討ワーキンググループ」が設置され、応急対策や生活支援策の今後の改善の方向性について提言がとりまとめられた。

この提言を踏まえ、防災基本計画の修正や物資の輸送状況を関係者で共有するためのシステムの構築、避難所運営の事例集や受援体制の検討のためのガイドライン等の関係マニュアルの整備など、関係機関で防災対策の見直しを進めている。

今後発生が懸念されている首都直下地震や南海トラフ地震などの大規模災害に備えるためには、国と地方公共団体等に加え、民間企業やボランティア、地域住民も含めた社会が一体となって取り組むことが必要不可欠であり、それぞれの災害対応組織が具体的な対策を実行に移していくことを期待している。

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© 2017 日本災害情報学会
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