災害情報
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国際災害支援の「受援」のための被災国による情報発信―インドネシア政府の対応を例に―
沖田 陽介多田 直人後藤 伸也地引 泰人
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2019 年 17 巻 2 号 p. 121-131

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抄録

近年、世界各地で発生した地震等の自然災害に対して、各国・機関が国境を越えて支援を提供することが多くなってきている。情報通信技術の発達を含むグローバル化の進展に伴い、比較的小規模の災害であっても、各国・機関は国際支援の準備を開始することが多い。そのため、国際支援の受け入れ、つまり「受援」について、国際支援が必要な場合にはいち早く被災国政府から支援を要請しなければならないが、不要な場合にも同様に「支援は不要」である旨を速やかに発信しなければならない。

本稿では、2016年のアチェ、2018年にはロンボク島、スラウェシ島と、インドネシアを襲った地震災害を例に、受援のために必要な被災国政府からの情報発信について見る。インドネシア政府は各国からの支援の申し出を断る、もしくは限定された支援のみを受け取る等の措置を執った。これらの決定がなされる過程において、インドネシア政府からはどのような情報発信がどのタイミングでなされたのか。インドネシア政府の対応を例に、被災国政府から支援する側に対する情報発信の必要性、迅速に情報を発信するための準備について検討する。

インドネシア政府が災害の発生直後から情報を発信できた理由として、法制度の整備により災害対策機関の役割が明確にされていたこと、支援の受け入れ方針が明確であったこと、英語による情報発信の体制が確立されていたこと等が挙げられる。

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© 2019 日本災害情報学会
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