災害情報
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女性週刊誌は福島第一原子力発電所事故をどう報じたか―読み手と書き手の共感を醸成する言説構造―
矢内 真理子
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2019 年 17 巻 2 号 p. 145-155

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抄録

本研究は女性週刊誌を対象に、福島第一原子力発電所事故報道の言説構造を解明することを目的とする。女性週刊誌が語る他の媒体の報道はどのように評価され、表象されているのか、原発事故報道の言説の成り立ちを分析した。本研究は総合週刊誌3誌の言説分析を行った矢内(2017)と接続し、総合週刊誌と女性週刊誌の比較を通して、さらなる知見を生み出すことを目的に行った。分析対象は2011年3月に発行された『女性セブン』『女性自身』『週刊女性』の3誌である。分析方法はフェアクラフ(2012)の批判的ディスコース分析から「前提のタイプ」分析と「社会的行為者」の分析、林(2002)の書き手と読み手の意図共有のディスコース分析の3点の方法を用いた。その結果女性週刊誌において、原発事故は読者の生活に影響を及ぼすものとして描かれていることが判明した。読者にとって単に「身の回りに変化が起きますよ」という言説のみならず、読者に対して節電や募金など、何らかの行動や意識の変化を促す言説が、要請やアドバイスという形をとり語られていた。読者と書き手が一体となる代名詞「私たち」を用い、「記者」たちが記事の中で登場人物化し、記事の中で主語の省略し、意識を共有する。この3点の流れが、総合週刊誌よりも強い、読者と書き手の仲間意識、連帯意識の醸成を可能にし、読者への助言を可能にしていると結論付けた。

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© 2019 日本災害情報学会
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