2019 年 17 巻 2 号 p. 97-108
中山間地の豪雨災害の例として、2017年7月に発生した九州北部豪雨災害を取り上げ、中でも被害が甚大であった福岡県朝倉市における避難と情報について検討した。関連文献を整理したのち、市役所及び関係機関への聞き取り、仮設住宅住民への聞き取り及びアンケート調査を行った。
その結果、まず、土砂災害と洪水被害が同時・複合的に発生したことで避難が困難だったことが分かった。アンケートによれば、被災前の避難率は低く、避難は実際に危険な状況を見ることをきっかけにしてなされていた。
そうした中で、避難勧告の発表は災害発生前に行われていた。しかし伝達メディアに問題があったために、住民にほとんど伝わらなかった。豪雨時に有効な緊急速報メールや屋内の受信機による伝達に不都合が生じていたためである。緊急速報メールは、市役所庁内のインターネットが一時不調になり、十分機能しなかった。また防災無線に接続された地域コミュニティ無線は接続に問題があり、強制放送ができなかった。せっかくの防災情報メディアがうまく使いこなされないという状況が明らかになった。