2020 年 18 巻 2 号 p. 199-209
本研究は、NHK神戸放送局が実施した量的ランダム社会調査の結果を分析した。実施時期は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から25年を迎えた2019年11月である。調査対象者は、大きな心理的影響を被っていると想像される震災当時に小・中学生であった子どもである。調査は、震災からの25年間が、子どもたちの心理状況や成長にどのような影響を与えたのかを明らかにすることを目的とし、内容は、個人属性、転居等の状況、進路・職業選択、震災のつらい経験の自己開示、心境の変化、震災体験の次世代への継承などである。主な結果としては、生きることには意味がある、震災体験を前向きに捉えているなど、震災体験を肯定的に考えていた。また回答者の6割が震災体験は風化していると考えており、5割が語り継ぐ必要があると考えていた。