2023 年 21 巻 1 号 p. 13-22
日本には、111 の活火山があり、これまでに数多くの火山災害が発生しているが、都市部への降灰を伴う大規模な噴火は近年発生していない。そのため、我が国においては、降灰により都市機能が奪われた際の企業の BCP(事業継続計画)についてはあまり対策が進んでいないのが現状である。そこで、富士山噴火を例に、現在企業が構築している BCP が、どの程度噴火時に機能するのかを「噴火シミュレーション調査」により検証するとともに、噴火へ対応することができない BCP を構築していると考えている企業と、噴火への対応が可能と考えている BCP を構築している企業の回答を比較し、噴火対応に必要な BCP の要素を明らかにした。結果としては、富士山の噴火に対して、多くの企業が十分な備えができておらず、既存の BCP が機能しない可能性があることが明らかになった。一方、噴火対応が可能とする BCP を構築している企業は、噴火警戒レベルが高まった時点や、噴火時、降灰時などの各フェーズにおいて、より多くの行動を検討し、物流が数週間止まった際でも、在庫戦略や代替戦略によって事業継続が可能と考えていることが分かった。噴火への対応ができない BCP を構築している企業と対応が可能とする企業では、日常的に経営者を含めた噴火リスクの話し合いレベルに差が見られたほか、事業継続マネジメント(BCM)への取り組み方全般に有意な差があった。