災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
査読原稿
風水害時における宿泊施設への避難に向けた課題
本間 基寬諸原 慎之介戸谷 洋介後藤 祐輔牛山 素行
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 21 巻 2 号 p. 157-168

詳細
抄録

近年、指定緊急避難場所への避難以外も含めた様々な避難行動である「分散避難」に注目が集まっている。避難情報発令前の段階での予防的な側面も含めて、宿泊施設へ早期避難を行うことの有用性が指摘されており、一部自治体ではその費用を補助する支援制度を設けているところもあるが、その普及は進んでいるとは言えない。そこで本研究では、宿泊施設への避難にかかる費用を補助する自治体の制度事例の収集・分析、台風・大雨時に地元住民の避難者を受け入れている宿泊施設へのヒアリング調査、宿泊施設への避難に対する住民の考え方やその費用の支払い意思額等に関するインターネットアンケート調査を行い、宿泊施設への早期分散避難の促進に向けた課題整理や施策提案を行った。その結果、現状では分散避難への理解は進んでいないものの、多くの住民は台風・大雨発生前の早期段階から宿泊施設避難を検討する可能性があり、一定の金銭負担があっても十分に利用する可能性があることがわかった。また、宿泊施設避難は災害時要配慮者に限定するのではなく一般住民も対象とした形で推進することが有用である可能性がわかった。住民の宿泊施設避難を促進するにあたっては、その宿泊施設の安全性の担保や情報提供、物資提供の支援が可能であるような仕組みが必要であることを示した。

著者関連情報
© 2023 日本災害情報学会
前の記事 次の記事
feedback
Top