2023 年 21 巻 2 号 p. 169-179
都道府県は災害発生後速やかに県内の基礎自治体の対応状況や被害状況などの様々な状況把握を行い、基礎自治体に対して必要な支援を行う。基礎自治体から都道府県に報告される情報の一つに住家被害数がある。住家被害数は、応急仮設住宅、災害廃棄物、住家被害認定等の災害対応業務を行う上で基礎的な情報であり、早期把握が重要である。しかしながら、基礎自治体から都道府県への住家被害数の報告段階において、その報告スピードや内容が各自治体によって異なっている。このような状況が発生すると、都道府県では県内の基礎自治体の状況を適切に把握することができず、必要な支援を適切なタイミングで実施することが困難になる。
そこで本研究では、都道府県が被害報等で公表する住家被害数のデータの経時的変位に着目し、実際の災害の被害報のデータを用いて住家被害数の経時的変位から、基礎自治体における浸水被害規模の早期把握のための現状と課題を整理することを目的とした。令和元年東日本台風を事例として都道府県が被害報等で公開したデータを用いて経時的変位の実態を把握した。さらに、長野県を対象として、県および基礎自治体に対して浸水による住家被害の収集方法や報告の方法についてインタビュー調査を行い、基礎自治体における対応が経時的変位としてどのように表れるかを考察した。