災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
[論文]
ハリケーン・カトリーナに学ぶ避難行動のあり方について
岡山 和生
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2007 年 5 巻 p. 46-57

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抄録

ハリケーン・カトリーナによる大規模高潮災害で明らかになった、大都市の避難行動の困難さを踏まえ、ニューオーリンズでの実績とその分析を行い、日本における大都市の大規模高潮災害・水害における避難行動のあり方を提案する。

ニューオーリンズでは、ハリケーンの強風被害に対する、上陸2日前からの広域避難が、大きな成果を収めたが、高潮浸水被害に対する具体的な警報の仕組みが無かったために、破堤氾濫による浸水からの避難に役立つ効果的な情報が不足して、多くの犠牲者を生んだ。そのための高潮警報と連動した避難体制の整備の必要性を示す。

また、とりあえず命を守る緊急避難と、仮に生活できる安全な場所への再避難を二段階に考えた避難方式を採用することを提案するとともに、避難所の機能について、ライフラインのバックアップや、アクセスの確保の重要性を示す。

さらに、水防計画だけでは対応できない大規模水害に対して、広域的な機関の役割と、その連携のための、スーパー高潮警報や、危機管理行動計画の必要性を明らかにする。

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© 2007 日本災害情報学会
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