災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
5 巻
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
特集 災害情報で人を救うために
[洪水等に関する防災用語改善について]
[土砂災害警戒情報について]
[緊急地震速報について]
  • 斎藤 誠
    2007 年 5 巻 p. 31-33
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー
  • ~テレビ報道 これまでの検討経緯~
    谷原 和憲
    2007 年 5 巻 p. 34-39
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー
  • -メディア利用実験および映像視聴実験の結果から-
    中村 功, 中森 広道, 関谷 直也, 森 康俊, 田村 和人, 森岡 千穂, 地引 泰人
    2007 年 5 巻 p. 40-45
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    一般の人々に対して、どのようなメディアで、どのような内容を伝達すれば、緊急地震速報は有効に生かされるのだろうか。この課題のためにわれわれは、2種類の実験をおこなった。第一の「メディア利用実験」では、東京在住の一般人に対して、テレビ、携帯ワンゼク、インターネットPC、テレビ電話の各メディアで緊急地震速報を伝達し、その有効性を評価してもらった。その結果、震度、到達時間、行動指示があるテレビ電話の人気が最も高く、逆にテレビやワンゼクのテロップ映像は最も不評であった。またメディアの有効性は、人々の生活スタイルに左右されることが示唆された。第二の「映像視聴実験」では、緊急地震速報を伝えるさまざまな映像パタンを製作し、大学生にプロジェクターで放映し、評価してもらった。実験の結果、評価がもっとも高かったのは、地図に同心円が広がるパタンであった。震度や到達予想時間が実感できて、わかりやすいというのである。しかし映像を見てどう行動すると思うかを聞いたところ、行動指示をピクトグラムで示したパタンが、机にもぐるなどの適切な行動を最も促進していた。緊急地震速報は、その伝え方しだいで、有効性がかなり異なることがわかった。

投稿
[論文]
  • 岡山 和生
    2007 年 5 巻 p. 46-57
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    ハリケーン・カトリーナによる大規模高潮災害で明らかになった、大都市の避難行動の困難さを踏まえ、ニューオーリンズでの実績とその分析を行い、日本における大都市の大規模高潮災害・水害における避難行動のあり方を提案する。

    ニューオーリンズでは、ハリケーンの強風被害に対する、上陸2日前からの広域避難が、大きな成果を収めたが、高潮浸水被害に対する具体的な警報の仕組みが無かったために、破堤氾濫による浸水からの避難に役立つ効果的な情報が不足して、多くの犠牲者を生んだ。そのための高潮警報と連動した避難体制の整備の必要性を示す。

    また、とりあえず命を守る緊急避難と、仮に生活できる安全な場所への再避難を二段階に考えた避難方式を採用することを提案するとともに、避難所の機能について、ライフラインのバックアップや、アクセスの確保の重要性を示す。

    さらに、水防計画だけでは対応できない大規模水害に対して、広域的な機関の役割と、その連携のための、スーパー高潮警報や、危機管理行動計画の必要性を明らかにする。

  • 木村 健一郎, 天野 浩文
    2007 年 5 巻 p. 58-66
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    近年の相次ぐ巨大地震や津波、水害、大規模事故の発生を受け、携帯電話などの身近な情報通信機器を防災に利用したいとの社会的要請が高まってきている。また、これらの機器を防災に関する情報の入手だけではなく、緊急時の安否確認に利用できないかとの意向も高まり、その試みも進んできている。そこで、筆者らは主に携帯電話をターゲットとした、安否確認機能を有する災害情報配信システム「LifeMail」を開発し、これまで3年に渡って運用を行ってきた。

    本稿ではLifeMailシステムの開発と、これまでの運用の様子を述べる。

  • 村上 啓介, 杉尾 哲
    2007 年 5 巻 p. 67-75
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    平成17年台風14号時に浸水被害を被った地区を中心に、住民の避難行動と災害情報の活用に関するアンケート調査を実施し、避難情報や災害情報を避難行動に結びつけるための効果的な情報提供のあり方と住民の防災意識について考察した。被害発生の危険性や時々刻々の状況変化が容易に把握できる災害情報の提供は、住民が避難行動を選択する動機づけとして重要である。過去の災害調査でも指摘されているように、自分の住む地域の災害状況や外水氾濫の危険性の把握にとって災害時のリアルタイムの現場映像は有効である。また、公的手段を通じた避難情報の直接的な伝達も避難行動のきっかけとして有効である。一方、災害情報や避難情報が十分に伝達されなかった場合には、過去に水害経験があってもその経験は必ずしも避難行動には繋がらず、災害リスクを過小に評価して適切な行動判断ができない場合がある。被害発生の危険性や災害状況を適切に把握できる災害情報として、災害時のリアルタイムの現場映像、地域・地区別の危険度、あるいは降雨や河川水位の予測値といった災害発生のリスクが認識し易い内容が求められている。今後の水害の軽減策に関して住民の持つ意識と行政の方針は必ずしも一致していない。適切な減災対策を講じてゆくためには住民と行政間で共通の認識を形成する必要があると考える。

  • 中森 広道
    2007 年 5 巻 p. 76-86
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    我が国の震度情報は、近年、めまぐるしい展開を見せている。しかし、その一方で、震度情報に関する問題やトラブルが大きく取り上げられることも多くなった。「新潟県中越地震」や「千葉県北西部の地震」などの昨今の地震では、「震度情報の遅れ」などの問題に対する批判的な評価がみられるようになっている。震度情報に関わる問題は最近始まったことではないが、1995年の「阪神・淡路大震災」で震度情報の遅れが初動体制を遅らせたという点が指摘されて以来、大きく注目されるようになったようだ。これは、震度観測が体感から計測震度計に移行し、無人の観測点や気象庁以外が管理する観測点が増えたことによりトラブルが顕著になったこと、震度が「記録性」よりも「速報性」を重視するようになっていることなどが挙げられる。ただし、器械による計測である以上、地震により何らかのトラブルが生じることは仕方がない面もある。そのために、「阪神・淡路大震災」の教訓から「震度5弱以上未入電情報」が発表されるようになっているが、この点は必ずしも有効に活かされていない。本来は状況を把握するための「参考情報」の役割を果す震度が、正確な状況を把握するための「確定情報」のような役割を求められるようになっている現状を再考する必要があるのではないだろうか。

  • 飯塚 陽子, 外井 哲志, 末松 孝司, 梶田 佳孝
    2007 年 5 巻 p. 87-94
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,防災教育の現状把握と問題点の整理を通して,ソフト面の対策としてのeラーニングの有効性を分析したものである.大学キャンパスやオフィスビルなどの公共的な施設における利用者への防災教育の実態を調査し,防災訓練等の防災教育は多くの対象が実施しているものの,内容や教育対象が限定的であることや理解度の不足から実際の効果が疑問視される場合も多いこと,すべての災害状況に対応した利用者全員での訓練は現実には困難であり,eラーニングの活用が期待されていること,内容的には疑似体験や音声,動画を利用した分かりやすいものが期待されていることなどを明らかにした.

    後半では,高層ビルで勤務している人および小学生を対象として,パソコンを利用したeラーニングと,従来のマニュアルとの学習効果を比較するための実験を行った.高層ビルを対象とした実験では,動的要素を用いた項目でeラーニングの学習効果が高かった.また,音声や動画といった多様な媒体,動的な表現を組み込んだ防災マニュアルへの要望が高いことが分かった.小学生を対象とした実験では,アニメーションや写真を用いた説明が効果的であり,特に難易度の高い学習内容についてはeラーニングの学習効果が高かった.eラーニングでは短時間で効率的な学習を提供できる可能性を示すこともできた.

  • 廣井 悠, 廣井 脩
    2007 年 5 巻 p. 95-107
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,住民の耐震補強工事選択に影響を与えると考えられる心理的要因について論じたのち,それを踏まえた補強工事促進に関する情報提供のあり方を提案する.すなわち,「災害の希少性ゆえ居住者が抱きかねない曖昧なリスク認知やある種のバイアスにより,正確なリスクの把握が阻害される人々が存在する」との仮説を問題意識として,その合理的でない意思決定を行う主体を明らかにし,原因を探るとともにその解決案を見出すことが本稿の目的である.具体的には,静岡県で2006年3月から4月に行われた耐震補強工事に関する意識調査のデータを用いて人々の正確な危機意識の認知を妨げるバイアスの存在を明らかにし,これらの人々に対し如何なる防災情報をいかに伝達するかについての具体的な提案を記述した.

    概括して,上記の心理学的要因は「正常化の偏見」,「認知的不協和」,「高すぎるヴァルナラビリティ」などに分類され,それらを持ち合わせている人々は知識としてのリスク認知と減災行動の動機となりうるリスク認知に大きな乖離が生じているものと考えられる.その乖離を可能な限り小さくするには,助成制度と切り離されない防災情報の伝達や,様々なモデルケースの紹介により補強工事を「手の届かないもの」と諦めさせることのない意識啓発が重要である等の結論が得られた.

[事例紹介]
活動報告
feedback
Top