災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
[論文]
体内警報システムの機能不全
―非避難行動の心理的メカニズム―
加藤 健
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2010 年 8 巻 p. 42-54

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抄録

災害時において、再三にわたる避難情報の提供や呼びかけにも関わらず、適切な避難行動がおこなわれないことがこれまで多くの先行研究によって指摘されている。こうした避難しない住民の実態は、「正常化の偏見」や「経験の逆機能」、あるいは「オオカミ少年効果」などの概念で説明されている。しかしながら、こうした住民の非避難行動に関する個別事例の研究が蓄積されていく一方で、なぜ住民は適切な避難行動をとらないのか、その心理的メカニズムについての研究蓄積は十分であるとは言い難い。本稿では、リスク知覚の形成において、二種類の知覚の不均衡が避難行動もしくは非避難行動をもたらすという「知覚均衡モデル」を提示している。このモデルによって避難しない住民の心理的メカニズムを統一的に解釈することを試みると同時に、これまで明確にされてこなかった住民の非避難行動に関する概念間の関係性についての整理をおこなっている。

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© 2010 日本災害情報学会
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