抄録
目的:本研究では、養護教諭や保健室の防災に関する役割について検討するために、小学校及び中学校の養護教諭を対象に質問紙調査を行い、様々な役割の重要性に関する意識、各役割の調査年度における実施状況、及びそれらの関連要因について明らかにした。
方法:調査対象は、北陸地方及び近畿地方の2県の小学校及び中学校の養護教諭とし、412人から回答を得た。調査項目は、防災の準備に関する役割17項目について、重要性に関する意識及び調査年度における実施の有無、防災の校内研修において養護教諭が重要な役割を果たす内容とした。さらに、重要性や実施状況の関連要因として、学校種、勤務校の所在地、発生が懸念される災害、防災の計画やマニュアルの有無、それらにおける養護教諭の役割の明示、養護教諭の教職経験及び勤務校での経験年数について調べた。
結果:役割の各項目の重要性の意識は高く、「非常に重要」と「ある程度重要」を併せた割合は92.9〜100.0%であった。そのうち、「非常に重要」は23.1〜92.9%を示し、特に割合が高かったのは、医療機関等の緊急連絡先の把握、救急処置体制の整備であり、低かったのは、校内の防災担当部への所属、防災計画等の作成への参加であった。また、各項目の調査年度における実施割合は7.9〜91.5%であり、特に割合が高かったのは、医薬品の管理、救急処置体制の整備、低かったのは、被災後の環境管理方法等の把握、被災後の健康相談の準備であった。役割17項目の重要性の意識と関連する要因については、学校の所在地、発生が懸念される自然災害、防災計画等の有無などが、各々、17項目中1,2項目と有意な関連を示したが、関連の方向は一定ではなかった。一方、防災計画等における養護教諭の役割の明示は4項目と有意な関連があり、役割が明示されている場合に、いずれも重要性が高くなった。実施状況との関連要因についても、役割の明示が役割の3項目と有意に関連し、明示されている場合、いずれの項目も実施率が高かった。役割の明示が重要性や実施状況に関連することが示唆された。