日本シミュレーション医療教育学会雑誌
Online ISSN : 2436-4452
Print ISSN : 2187-9281
実践報告
屋根瓦式の指導体制を活用したシミュレーション医学実習における指導者への教育効果
辻井 左恵栩野 吉弘奥 幸子岡田 明子首藤 太一
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2025 年 13 巻 論文ID: 2025-13-04

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抄録
背景:屋根瓦式教育では、学修者の有用性は示されているが、指導者への効果を示す報告は多くない。本研究では、屋根瓦式の指導体制を活用したシミュレーション医学実習の指導者への効果を検討した。 方法:スキルスシミュレーションセンターでの本学医学部 4 年生の「臨床スターター実習」に指導者として参加した本学卒業の 2年次研修医(本学 R2)、他学卒業の 2 年次研修医(他学 R2)、本学医学部医学科 6 年生(M6)にアンケート調査を実施した。アンケートの内容は、実習に向けた事前準備ならびに自身の学びや有用性とした。 結果:事前準備は 52%の指導者が行っており、本学 R2・他学 R2 に比べ M6 の事前準備を行っている割合が高かった(本学 R2:44%、他学 R2:45%、M6:72%)。事前準備は、苦手な手技がより割合が高く、本学 R2 は他学 R2 と比較して、臨床実習前OSCE の学修・評価項目を意識している割合が高かった。指導の際に自分自身の学びや有用性が「あった」「どちらかと言えばあった」と回答した割合の合計はそれぞれ 91%と 96%と高かった。自由記載では、有用性は指導者自身の「学び」によって評価されていた。 考察:4 年生の臨床手技の実習では、研修医と 6 年生が指導することの効果は高く、「教えることは学ぶこと(Teaching is learning)」が強く示唆された。指導は、事前準備としての学びの動機付けに有効であり、指導者自身の学びの評価基準は、主に自身の手技のスキルアップにあると考えられる。
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