抄録
本研究は,浴室内に設置する手すりの適切な取り付け位置の指標となる基礎資料を得るため,「住宅の品質確保の促進に関する法律」に規定される日本住宅性能表示基準の中の「高齢者等への配慮に関すること」で求められる評価基準等級5の手すりについて,浴槽にお湯を張るなど実際の入浴環境を出来る限り再現した上で,入浴行為・動作ごとに手すり位置の違いによる使いやすさの官能評価,上下肢の筋電,床反力を計測し,それらの関係から手すり位置を評価する被験者実験を行ったものである。
実験の結果,以下の知見を得ることができた。①浴室内歩行補助用水平手すりの設置位置は,廊下等に適用される現行基準750よりも100mm 程度高い位置が使い易いと評価された。②浴槽内立ち座り用水平手すりは,浴槽種の多様化をふまえ浴槽底からの高さを基準にすべきである。③最適な手すり位置における把手% MVC は姿勢保持の場合20~40%,動作補助の場合50~80%と,手すりの使用目的に応じた特徴的な傾向を示した。