エレクトロパラトグラフィ(EPG)は,調音動態を継時的に測定できる生理学的検査機器の一種である。継時的調音動態の測定方法にはMRIをはじめとして様々な手法があるが,その中でEPGは,侵襲性が少ないこと,測定結果をリアルタイムに視覚化可能であること,可搬性に優れていること,舌縁による側面狭窄が観察可能であるといった利点を持つ。一方で,測定範囲が限られること,動的な調音器官である舌の運動を直接測定することができないといった欠点もある。本稿では,EPGの長所と短所を述べると共に,日本語音声に関する幾つかの例を元に,EPGの利点を活かした研究について簡単な紹介を行う。