学校メンタルヘルス
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資料論文
中学生における自尊心と被受容感のバランスからみた葛藤対処
鈴木 真吾
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2016 年 19 巻 1 号 p. 73-80

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抄録

【問題と目的】本研究の目的は,中学生において,自尊心が高く被受容感が低い,自尊心が低く被受容感が高いという,自尊心と被受容感のアンバランスな者について,葛藤対処との関連を検討することであった。仮説として,自尊心と被受容感がともに高い者に比べ,自尊心と被受容感がアンバランスな者は自分の欠点や問題に適切に向き合えず,葛藤対処がうまくできていないことを想定した。

【方法】541名の中学生を対象に,無記名の質問紙調査を実施した。質問紙は自尊心尺度と被受容感尺度,葛藤への対処方略尺度で構成した。

【結果】自尊心および被受容感尺度の得点の高低によって,調査対象者を4群に分類し,各群の特徴を検討した。その結果,自尊心と被受容感の高低がアンバランスな2群のうち,自尊心が高く被受容感が低い群は自分の欠点や問題に向き合うことを避けていることが示唆された。また自尊心が低く被受容感が高い者は自分の欠点や問題への向き合い方で,直面する傾向と回避する傾向の両方を行っていることが示唆された。

【考察】自尊心と被受容感がアンバランスな中学生は葛藤対処がうまくできず不適応状態にあり,さらに心理的援助が必要な可能性がある。

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© 2016 日本学校メンタルヘルス学会
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