学校メンタルヘルス
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保育カリキュラムに即した個別の指導計画が特別な配慮を必要とする子どもの遊びに与えた効果
齊藤 勇紀小林 智小林 大介三道 なぎさ有川 宏幸
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2024 年 27 巻 1 号 p. 78-88

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抄録

【問題と目的】保育施設で個別の指導計画が定着しない理由として,適切な評価や目標設定,具体的な保育計画の立案など,作成する保育者に要求される知識や技能的水準が高いことが挙げられる。また,作成された個別の指導計画について,保育者は「できる/できない」,「適応できる/適応できない」といった二項対立的な視点で子どもを理解する傾向があり,障害のある子どもの遊びや能動性に意識を向け難いといった課題がある。本研究では,園の全体的な計画と年間指導計画,子どもの多様な発達の姿を捉える記録と評価方法を構造化し,構造化された記録と評価方法に基づく個別の指導計画が子どもの遊びの質や発達にどのような効果をもたらしたかを検証した。

【方法】対象児6名に対して保育者6名が保育カリキュラムに即した個別の指導計画を立案,活用した。プレテストとポストテストにおける質問紙調査により,保育者から見た子どもの安心度・夢中度,保育記録による発達尺度の測定を行った。

【結果】安心度はプレテストよりポストテストの方が有意に高く,夢中度については,有意な差は見られなかった。また発達尺度では,順応性がプレテストよりポストテストの方が有意に高く,社会性,好奇心に有意な差は見られなかった。

【考察】本研究による保育カリキュラムに即した個別の指導計画に基づく保育は,子どもの安心感が向上し,順応性の向上に寄与する可能性があることが示唆された。今後この有効性をより詳細に検証していくためには,より長期間にわたる縦断的な検証や対照実験による検討が必要だと考えられる。

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© 2024 日本学校メンタルヘルス学会
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