抄録
従来のシステムデザインでは,システムは運用者によって適切に運用されるという仮定に基づき,利用者は単にシステムの恩恵を享受する受動的な存在と捉えられてきた.しかし,ダウンサイジングが進んで利用者の意識やスキルが向上し,EUDが日常となった今日においては,利用者がシステムをデザインおよび開発することが珍しくなくなった.しかもシステムの運用にはその物理的な維持管理だけでなく,正しい操作や文脈に即した適切な機能選択のような,利用者のスキルも求められることになる.従って,利用者のニーズと共にその役割とスキルをシステム運用環境として適切に反映できるデザイン手法が,システムの運用には不可欠となる.そこで本論では,利用者の役割や機能を考慮したシステム運用環境のデザイン手法を提案し,実際のシステム開発・運用を通してその妥当性について考察する.