行動分析学研究
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特定保健指導とその後の健康維持行動の継続における自己管理支援プログラムの探索的検討
内田 雅人
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2015 年 30 巻 1 号 p. 24-32

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抄録
研究の目的 メタボリックシンドローム解消のための特定保健指導の効果と、参加者自身による健康管理における評価的フィードバックの効果を検討した。研究計画 ABACADデザインに沿って一事例研究を177週間実施した。場面 参加者の自宅で行動指標の自己観察が行なわれた。参加者 研究開始時に50歳代の男性(筆者)1人であった。独立変数の操作 第一の独立変数は特定保健指導による介入であり、第二は自己観察時の測定値の増減に対する評価的なフィードバックの提示による介入であった。行動の指標 体重と腹囲の測定値、行動目標(歩行、自転車走行、節酒、夕食の節制、野菜摂取)の遂行率と目標基準の達成率を指標とした。結果 特定保健指導の第1期に明らかに見られた体重と腹囲の下降が、自己観察の第1期には見られなくなり、それぞれの第2期には期間内での下降傾向が見られなくなったが、評価的フィードバックが加えられた自己観察の第3期に緩やかな下降が見られ、目標志向行動には安定した高い遂行率が観察された。結論 自己管理プログラム全体としては、メタボリックシンドロームの解消という臨床的効果が確認され、特定保健指導の積極的支援指導の介入効果が検証された。動機づけ支援指導と評価的フィードバックの介入効果については実験的に検証できなかったが、参加者による自己管理行動を維持する効果が示唆された。
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© 2015 一般社団法人 日本行動分析学会
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