抄録
東日本大震災では,サーバの損壊や流出により重要なデータが情報システム基盤から失われた。一部のデータはクラウド上に複製されていたが,被災地ではインターネットに接続できず,複製データを取得できない状況であった。こうして既存の情報システム基盤は十分な耐災害性を持たないことが明らかになったが,企業の事業継続のためには,被災時にもデータを取得できる高可用な情報システム基盤が望まれる。本稿では,災害によるサーバ損壊や広域通信障害の発生を前提に,近隣のサーバ拠点間でデータを複製する分散ストレージ上の情報システムとして構築した高可用な情報システム基盤と,当該基盤の耐災害性の実証シナリオについて提案する。