抄録
ICTが日常生活の場面に浸透している環境で育まれた現代の学生は、ICT機材やその基盤上でのサービスをいち早く理解し、齟齬なく利活用しているにもかかわらず、情報基礎教育に対して敷居が高いと感ずる学生が少なくなく、ICTが新たな知的興味対象と成り得ないことや、複雑な機構ゆえに知的接近できないことなどが要因として指摘されてきた。しかも、プログラミング課題の実施状況からは、そのような外的要因以外にも学びの意識や理解の仕方などの現代学生の内的要因も浮かび上がる。本報告では、課題レポートの分析結果と教育現場での参与観察知見に基づき、今日の即応的情報環境下で育まれた学習者の学びの問題について教育システムの観点から議論する。