抄録
本発表はHTML5と呼ばれる仕様の普及という事例分析を通じ、標準仕様に要素技術を盛り込むことでイノベーションを実現するという戦略を遂行するために必要な要因を分析する。メールや表計算等のアプリケーションをサーバ上で動作させ、ブラウザを通じて操作するウェブアプリケーションの普及と機能向上には、全ての主要ブラウザに新機能を実装させる必要があり、そのためにはウェブ標準に機能を追加し、利害が対立するステークホルダーにも実装を促さなければならない。ブラウザ供給者ならびに標準化団体外の開発者コミュニティの技術認識を変革するための施策の効果をW3Cのメーリングリストアーカイブ等を用いて事例分析する。