日本社会福祉マネジメント学会誌
Online ISSN : 2436-4061
保育園における感染予防対策に関して看護職と保育士が抱える課題
アンケート自由記述のテキスト分析から
西村 潤子 山川 正信
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キーワード: 保育園, 感染予防対策, 課題
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2021 年 1 巻 02 号 p. 17-28

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抄録
目的:保育園において看護職と保育士が感染予防対策を進めるにあたっての困難の特徴を明らかにした. 方法:2017 年4 月~6 月に保育園看護職(以下,看護職)の団体の会員を対象に,保育園の感染予防対策について自記式質問紙調査を実施した.質問は主に選択式で構成し,最後に「園内で感染予防対策を進めるにあたり困っていること」について自由記述の欄を設けた. 結果:回収した調査票のうち,自由記述の記載がある看護職78 名,保育士66 名の計144 件を対象とした.抽出語は【園児の症状を保護者へ伝えても理解されない困難】【胃腸炎など流行時の感染予防対策の困難】【園長や保育士の理解を得る困難】【嘔吐の適切な処理方法の実施や習得の困難】【感染予防対策についての園内研修や手技の習得への困難】の5 つにまとめられた.対応分析,共起ネットワーク分析では,経験が20 年以上の看護職は「保護者」,5 年未満の看護職は「理解」「得る」,5~19 年までの経験の保育士には「感染」「処理」「対応」「行う」の語に関連が確認された.保育士は経験年数によって困難とする課題が異なるのに対し,看護職は経験年数による違いが小さいことが明らかとなった. 結論:保育園における感染予防対策の推進には,看護職同士の情報交換の機会や看護職が専門職として園内研修を行い,保育士と連携すること,保育士は適切な方法で感染予防対策を習得し,実施することが重要と示唆された.
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© 2021 一般社団法人日本社会福祉マネジメント学会
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