日本社会福祉マネジメント学会誌
Online ISSN : 2436-4061
放課後児童クラブにおける危機管理マニュアルの活用に関する探索的調査
設置・運営形態による特徴
太田 研 和田 一郎鈴木 勲仙田 考
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2023 年 3 巻 p. 53-66

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抄録

放課後児童クラブにおける危機管理マニュアルの活用は, 量的に拡大しているものの, 質的な向上をもたらす要因については不明なままである. 危機管理の質の向上のためにも, マニュアルの活用状況に関する実態を明らかにする必要がある. 本研究の目的は, 放課後児童クラブにおける危機管理マニュアルの活用状況について,設置・運営形態ごとの特徴をインタビュー調査により探索的に検討することであった. 対象者は, 放課後児童クラブの管理者や主任, 支援員の計18名であった. インタビュー調査により, マニュアルの記載項目, 活用状況, 効果, 懸念事項などを聴取した. 対象者の回答について計量テキスト分析を行った. 具体的には, 頻出語を用いた共起ネットワークと設置 ・ 運営形態ごとの課題を分析するために対応分析を行った. その結果, 公立公営の施設では, 事故への対応や連絡先, 不審者対応, 避難場所, 保護者への引き渡しといった複数の項目をマニュアルに設け, 訓練に活用することで, 職員が共通した行動をとれるようにしていた. また, 自治体との連携が語られ, 事故報告のほかにもマニュアルの修正についても相談する事例があった. 一方, 民立民営の施設では, 避難訓練での活用 が共通して語られた. 自治体と連携して安全対策を講じるというよりも, 管理者や職員の個人的な自助努力に依存する傾向があった. 全ての利用児童が安全・安心に生活できる危機管理マニュアルの在り方を検討した.

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© 2023 一般社団法人日本社会福祉マネジメント学会
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