2022 年 31 巻 1 号 p. 1-14
本研究の目的は、「職場の『働きやすさ』評価尺度-病院スタッフ看護師用-」を用いた評価活動の有効性を検証することである。本尺度を用いた評価活動の有効性とは、スタッフ看護師の「働きやすさ」に関わる職員が、スタッフ看護師による「働きやすさ」の測定結果の解釈を通し、働きやすい職場づくりに向けて肯定的な知覚を生じることである。3病院4看護単位のスタッフ看護師に尺度への回答を依頼し、看護単位毎に回答を集計し測定結果とした。次に、各看護単位の測定結果を当該看護単位の看護師や他職種に提示した。測定結果の解釈を通し、これらの職員に生じた「働きやすさ」に関わる知覚を面接等により収集した。収集したデータを質的帰納的に分析した結果、65カテゴリが形成された。文献に基づき設定した2つの基準と65カテゴリを照合した結果、その多くが基準を充足した。これにより、対象者に生じた「働きやすさ」に関わる知覚の多くが、働きやすい職場づくりに結びつくことが示唆された。また、看護単位毎に基準の充足状況を確認した結果、4看護単位中2看護単位が2つの基準共に100%充足し、残る2看護単位が第1基準67%、第2基準100%充足した。以上は、本尺度を用いた評価活動が働きやすい職場づくりに一定の効果をもたらすことを示した。