2025 年 20 巻 p. 27-32
本研究は,過疎地域に住む向老期にある住民の精神的健康と地域への愛着の関連を検討し,精神的健康の向上に向けた示唆を得ることを目的とした.
過疎地域に住む向老期にある住民を対象に無記名自記式質問紙を用いた郵送調査を実施し,得られたデータを基に単変量解析および重回帰解析を行った.
その結果,地域への愛着尺度である「人とのつながりを大切にする思い,生きるための活力の源」,「自分らしくいられるところ」,「住民であることの誇り」の4 因子全てがCES-D 得点との間に負の相関がみられた.また,「自分らしくいられるところ」という感覚が抑うつ症状の軽減に独立して有意な影響を与えることが示された(β =-0.28, p=0.04).これらは,先行研究を支持する結果であり,地域への愛着を育むことが向老期にある住民の精神的健康の維持・向上に有効であることが示唆された. 今後は,地域住民に対して自分らしくいられる場所を提供できるような地域づくりを実現することが期待される.