2004 年 20 巻 2 号 p. 109-115
本学会が設立されて、20年が早くも経過した。誠にご同慶の至りである。会員とともに、この20周年を心から喜びたい。本論文は、設立20周年記念大会の冒頭講演である。その様な機会であったため、余り紹介されていないシステム農学会設立の経緯が中心に述べられる。まず、システム農学会の設立と切っても切れない関係にあるIIASA(International Institute for Applied Systems Analysis、国際応用システム解析研究所)の説明から入る。まず、IIASAのFAP(Food and Agriculture Program)への日本人研究者の派遣と、IIASAの研究環境が述べられる。続いて、日本IIASA委員会での活動と、そこでのシステム農学会の設立構想が生まれたことが、論じられる。システム農学会は、そうした日本IIASA委員会が、本学会の設立準備会となって、1983年秋にその設立論議を始め、1984年4月に設立された。設立準備が半年にも満たない短期間内で設立された。最後に、システム農学の研究分野について、考える時期に来ているとの認識から、簡単なコメントが加えられる。まず、システム農学の特性が、述べられる。続いて、今日までの発表論文を参照しながら、研究分野を検討してみると、それは技術、経営及び環境に大別されるのではないかと、論じられる。また一方では、システム農学は、今日人類が直面している「地球環境問題」に関して、最も大切な学術分野であることが強調されている。そして最後に、システム農学は、地球環境研究プロジェクトの1つであるLUCC(Land Use/Cover Change、土地利用・被覆変化)との関連性が、深いこと述べられている。