システム農学
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研究論文
高空間分解能画像データによる畦畔等の植生バイオマス量の推定
渡辺 修大谷 一郎大原 源二
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2005 年 21 巻 1 号 p. 47-57

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抄録

地球温暖化防止に対応するため、植物由来のバイオマス資源の利用が求められているが、植物資源が豊富に存在すると考えられる畦畔等の小規模で分散する土地の植生バイオマス量を把握した研究はほとんどない。兵庫県日高町の910 haを撮影した解像度20 cmの高空間分解能データを用い、これまでリモートセンシングの対象となっていない小規模で地域に分散する水田に隣接する畦畔や道路法面の植生バイオマス量を推定した。現地調査は7月下旬から8月上旬にかけて、対象地区の畦畔及び農地に隣接した道路法面で行った。現地ではチガヤの優先する畦畔が高い頻度で確認された。40カ所のサンプリングポイントの解析から、NDVI(Nomalized Difference Vegetation Index)値と地上部植生バイオマス量の間に高い正の相関がみられ(R2=0.622, p<0.01)、NDVI値から推定した合計バイオマス量は26 DWt/haであった。畦畔等のバイオマスを年間3-4回の回収すると仮定すると、7.8-10.4 DWt/(ha yr)の生産量があり、草地NPP(Net Primary Productivity)の9.7 DWt/(ha yr)に匹敵する。高空間分解能データは小規模な土地の植生観測を高い精度で行うツールとして優れており、これまで推定できなかった畦畔等のバイオマス量の推定を可能にした。

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© 2005 システム農学会
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