システム農学
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研究論文
新しい植生指数“rbNDVI”による冬小麦の葉身クロロフィル濃度の早期推定
田中 真哉後藤 誠二朗牧 雅康秋山 侃村元 靖典吉田 一昭
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2007 年 23 巻 4 号 p. 297-303

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抄録

冬小麦の子実タンパク含有率を早期に予測するために、小麦の出穂-開花期において、新しい植生指数を用いて葉身クロロフィル濃度を推定する手法について提示した。地上での分光反射計測データから算出した従来の植生指数NDVI(Normalized Difference Vegetation Index )、TCARI/OSAVI(Transformed Chlorophyll Absorption in Reflectance Index/Optimized Soil-Adjusted Vegetation Index)及び新しい植生指数rbNDVI(red and blue Normalized Difference Vegetation Index)を比較したところ、葉身クロロフィル濃度に対する相関はrbNDVI で最も高く(2006 年: r2=0.701, 2007年: r2=0.802)、得られた推定式の年次間差も小さかった(RMSE: Root Mean Square Error=4.77µg cm-2)。rbNDVI について、ALOS/AVNIR-2(Advanced Land Observing Satellite/Advanced Visible and Near Infrared Radiometer type 2)の帯域幅に合わせて計算したところ、狭帯域幅での結果と同程度の決定係数を得たことから、衛星レベルにおいても本手法を適用できる可能性が認められた。小麦の出穂-開花期におけるクロロフィル濃度は、子実タンパク含有率と高い相関があることから、本手法を用いることによって広域にわたる栽培圃場の子実タンパク含有率の評価や当該年の栽培管理に有用な情報を提供できると考えられた。

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© 2007 システム農学会
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