抄録
バイオマス資源のエネルギー・マテリアル利用の開発において、バイオマス資源の広い面積での生産、収集・輸送、地域で異なる性質などから、地域を単位として多段階利用するバイオマスリファイナリーの発想は重要である。このような資源をくまなく利用するシステムにおいては、地域のバイオマス資源の発生量および利用実態の把握が重要である。本研究では、バイオマス生産量の高いタイの東北部における農作物副産物と作物加工工場有機廃棄物の生産量およびその利用実態を明らかにした。農作物は東北部で栽培面積、生産量ともに多い稲、キャッサバ、サトウキビを対象とし、農家圃場調査、農家への聞き取りおよび現地圃場試験の結果を基に、農作物副産物の生産量および利用状況を明らかにした。また、これらの作物を加工する精米所、キャッサバデンプン工場、キャッサバチップ工場、製糖工場に聞き取り調査を行い、有機廃棄物の量およびその利用先を明らかにした。圃場調査、聞き取りは主に2004~05 年に行った。これらの結果を基に、2003~05 年のコンケン県を事例に、これらバイオマス資源の利用可能量の見積もりを行った。その結果、食料を除くバイオマスは、稲および精米所から1.87 M t、キャッサバおよび加工場から0.62 M t、サトウキビおよび製糖工場から2.63 M t発生し、そのうち、利用可能なバイオマス量はそれぞれ0.37 M t、0.35 M t、0.42 M t発生していると見積られた。